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升永英俊弁護士の「職務発明論」

<理科大MIPセミナー>

昨晩、「理科大MIPセミナー」が開催されました。

「職務発明訴訟」の原告代理人として有名な升永英俊・弁護士に御登壇戴きました。

「理科大MIPセミナー」は「東京理科大学専門職大学院(MIP)知財戦略セミナー」の略称で、月に一回程度開催されています。

事前に申し込みいただければ、どなたでも参加できますので、是非、お越し下さい。詳細は、下記を御参照下さい。

http://www.kosoken.org/

私は、このNPO21世紀構想研究会で産業技術・知的財産権委員会の委員長をしています。

前回の講師は、三村量一・知的財産高等裁判所裁判官でした。

次回の日時と講師が決まり次第、お知らせします。

<職務発明論>

2006年9月13日(水)に日本経済新聞の経済教室に掲載された「発明利益 技術者へ還元を」に基づいて詳細に御説明戴きました。

「富のルール」の変遷、「知的財産の時代」に「工業時代」の経営を行うことによる営業利益率の低迷、各時代毎の富を生む方法など。

最後に、渋谷高弘著の『特許は会社のものか』に記載されている、スズキ(自動車メーカー)の鈴木修会長の200億円中村判決(青色LEDに関する東京地裁判決)についての発言を紹介されました。

「あれだけ利益を上げる発明なら、200億円なんて安いものだ。近く社内に(発明を奨励し、それに見合う報酬を惜しまないという)通達を出すつもりだ。具体的的な算定式(の)策定)などはこれからになるが、200億円に相当するぐらいの発明をぜひやってほしい・・・」というコメントの紹介が印象的でした。

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コメント

経営者の報酬と職務発明の報酬を比較してみる必要もあると思います。
事業利益に対する経営者の貢献と発明者の貢献を比較するという切り口での議論を見たことがありません。赤字決算をもたらした企業経営者であっても高額の報酬や退職金を得ている例はいくらでもあります。これは、経営者が事業や経営に対して個人としてはあまりリスクを負っていないということでもあると考えます。職務発明の報酬について、発明者が負うリスクの大きさを基準に考える論を主張する学者もいますが、企業経営者の報酬の実態との比較までやっていないので、説得力のある論になっていないと感じることが多いです。

投稿: 久野 | 2006年11月26日 (日) 15時32分

職務発明の譲渡対価の計算は、不確定要素と主観的要素が多すぎて、どんな計算方法を採用しても納得できる結果は出ないと思います。そこで、発想を転換してみます。

すなわち、発明者が報われるために下記のような「退職後実施許諾権」というものを制定するというものです。

【退職後実施許諾権】

発明者に、自己の特許発明について発明時の所属会社などを退職後に1回だけ行使できる実施許諾権(退職後実施許諾権)を与える。この退職後実施許諾権は、発明者が職務発明についての特許を受ける権利を自己の所属する会社などに譲渡をしても発明者に残る権利であり、譲渡不能とする。発明者は、自己の職務発明を所属企業に譲渡する時に、譲渡対価の一部として退職後実施許諾権を得る。退職後実施許諾権を行使した発明者またはその相続人は、発明の譲渡対価が相当であったかどうかについて争うことはできないものとする。

このようにすると、発明者と所属企業が相当の対価について争うことが少なくなるし、企業は優秀な発明者の処遇を厚くして、退職を防止するようになるので、特許法が本来予定していた発明の促進と産業の発達の両立が図れるようになる。

投稿: 久野 | 2006年11月27日 (月) 06時40分

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