「白山菊酒」
12月27日(水)は、11月23日のブログで御紹介した「白山菊酒」五社を訪問取材させて頂きました。
「白山」とは、清酒の地理的表示の産地として国税庁長官が指定した第1号。ブランドネームは「白山菊酒」で、「白山菊酒呼称統制機構」を蔵元5社で構成しています。
今回、(財)石川県産業創出支援機構と石川県の御尽力で取材させて頂きました。各社の社長をはじめとする皆様、長時間のインタビュー、本当に有難うございました。
「白山菊酒」が地理的表示の指定を受けるに至った契機は「危機感」だったそうです。これは5社の皆様に共通する見解でした。中国や米国で売られている「日本酒」には偽物が多い、是非、本物の日本酒を伝えたいというお考えでした。
また、大武健一郎前国税庁長官の励ましが大きかったそうです。大武長官といえば、2004年3月に主税局長として32年ぶりに「日米租税条約」を全面改正されたタフネゴシエーターです。
次の「知財政策」の授業は「租税条約と知的財産」です。今回の取材で、皆様から大武長官のお名前が出てきて驚きました。日本酒と税金の関係は密接不可分だと痛感した次第です。<(_ _)>
「白山菊酒呼称統制機構」の理事長をされている金谷芳久社長からお話を伺いました。
明治2年から酒造を始められ、商標は「高砂」と「宝養老」。その後、兼六酒造から商標「兼六正宗」と「兼六」、金谷酒造から商標「初ふね」と「金ノ澤」を引き継がれました。
5社で「白山白酒」のブランドを構築しても、各社ごとの個性が必要です。ボルドーワインに属するワイナリーが個性豊かなことを考えれば当然ですよね。そこで、各社の目指すものをお伺いしました。
金谷酒造店さんは、「食中酒」。石川県の食べ物を引き立てるような酒造りを目指しているそうです。お店には、フランスレストランを併設されています。リーズナブルな価格でとても美味しいフランス料理でした。予約で一杯だそうです。(*^_^*)
写真はお店の入り口と、中庭から見たレストランの入り口。
「天狗舞」は、質より量の時代であった昭和40年代に、高品質の『飲んで旨い酒』を目指して作られたお酒です。
「山廃仕込(山廃酒母仕込)」に社運を掛け、杜氏に中 三郎(なか さぶろう)氏を迎えたそうです。中氏は、期待に応え、山廃仕込み純米酒の製法を確立されました。
「天狗舞」は色の濃いお酒ですが、これが自然の状態。絞りたてを味見させて戴きました。大変美味しかったです。
2005年には、「現代の名工」として、日本料理界から道場六三郎氏と共に、能登杜氏四天王の一人である中氏が選出されました。
車多一成専務取締役と徳田耕二常務取締役に御説明戴き、杜氏の中さんにもお会いできました。工場見学までさせて頂きました。写真は会社の入り口と製造工程です。
目指すお酒は「味が深くて、辛口」。漫画「美味しんぼ」でも有名ですね。(*^_^*)
1981年、銘酒「手取川正宗」を復活させ、その後、大吟醸酒、吟醸酒の商品化にも着手。
この蔵元の特徴は、技術導入の巧みさだと思いました。こちらでも、工場見学をさせて頂きました。
2004年、洗米浸漬装置を導入し、洗浄の完璧さと水分含有量のコントロールに成功されたそうです。
吉田隆一社長は、「良い品質の本物の日本酒を2000~3000円で提供し、値頃感、納得感の構築を目指したい」と話されていました。
上の写真は、お店の入り口。下の写真は、右が吉田社長、左が御案内して下さった石川県農業総合研究センターの高橋正宏さんです。今回、大変お世話になりました。
吉田社長が御自身のブログに書かれる前にブログを書くことを目指しました。(*^_^*)
<菊姫合資会社>
「加賀の菊酒」の名称が初めて文献にでてくるのは「言継卿記(大永七年;1527年)」。
「菊姫」は伝統を今に伝えるため、「菊酒」、「菊理媛(白山比咩神社御祭神)」にあやかり命名されたと伝えられているそうです。
柳達司代表に、囲炉裏を囲んでお話を伺いました。
一番の特徴は、酒米と麹の良さとのこと。山田錦(兵庫県)でも最高級の酒米を使用されているそうです。
また30年以上にわたる酒米などの詳細なデータを持っておられので、毎年、品質が微妙に異なる酒米でも最高の醸造ができる体制をもっておられます。
写真は駐車場と会社の入り口。ボンボンのようなものは、「杉玉(すぎだま)」。緑色の杉玉は、蔵元で新酒が出来たという合図、時間と共に茶色となり醸造具合を表すそうです。
創業は、享保年間(1716~1734)。
現在では、「白山 大吟醸古酒」、「菊のしずく」、「加賀梅酒」など、多彩な商品を揃えておられます。
2005年8月の日本経済新聞の土曜日の特集記事で、梅酒ランキングのトップとなっていたのがこの「加賀梅酒」です。
小堀幸穂社長に、囲炉裏でお話を伺いました。個性があり、地域性がある白山菊酒を作られておられます。
「白山菊酒」と認証する委員会の厳しい仕組みなどの詳細を伺うことができました。
写真は、会社の入り口とお店のディスプレーです。
<小松空港>
空港売店でも地酒として販売されていました。
5社の蔵元さんに敬意を表し、空港で5社のお酒を購入しました(もちろん宅急便で送りましたが・・・)。
新春の授業では、租税条約と日本酒の関係をしっかりと考えてみたいと思います。(*^_^*)
写真は、搭乗口の横の売店です。
◎追伸(12月28日夜)
先程、宅急便が届きました。
小松空港の1階カウンターでお願いしたのですが、多種類の緩衝体を駆使しながら酒類などの荷物をしっかり固定された素晴らしいパッケージでした。(*^_^*)
私は包装体や容器の特許審査を長年していたので、この分野はうるさい(?)のですが、小包を開けて思わず感激しました。空間と力学の洞察が深いのです。
クロネコさんは素晴らしい社内教育されていますね。
担当者は若い女性。本当に有難うございました。<(_ _)>
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コメント
「天狗舞」は、「美味しんぼ(作:雁屋哲、画:花咲アキラ)」の16巻、57巻、89巻にでてくるお酒ですね。
白山菊酒の5種類全部飲んでみたいなあ・・・。
投稿: おいしんぼ | 2006年12月28日 (木) 16時23分
吉田社長様
貴社を訪問させていただいた件について、ブログへ掲載して戴きました。過分なお言葉を賜りまして、御礼申し上げます。http://blog.livedoor.jp/tedorigawa03k/
吉田社長と高橋さんが対面できる契機となり嬉しい限りです。(*^_^*)
また、東京理科大学についてもお褒め戴き光栄です。
今でも卒業はかなり難しい大学です。(*^_^*)
さらに、「藁縄」の画像も迅速に許可戴き、お礼申し上げます。
12月27日(前日)のブログに掲示させていただきました。
吉田社長のブログを拝見すると、私が帰京した翌日から雪だったのですね。金沢らしい風景ですね。(*^_^*)
今後とも宜しくお願い申し上げます。<(_ _)>
投稿: 生越由美 | 2006年12月30日 (土) 02時35分