進歩性に関する情報
<審査実務の調和>
日米欧の特許庁は特許出願書類の様式を統一することで合意し、2009年4月から運用を始める予定です。次の課題は、相互承認に向けた「審査実務」の調和ですね。
審査実務について、国内外でホットな話題は「進歩性」に関する議論だと思います。
<日本>
日本国特許庁(JPO)は、2006度に進歩性等に関する各国運用等の調査研究を委託研究しました。その成果を「進歩性等に関する各国運用等の調査研究報告書」として公開しています。
審判部では、2006年7月から産業界等と事例研究によって進歩性判断について検討しました。その成果を「進歩性検討会報告書」として公開しています。
<欧州(英国)>
英国知的財産庁(UK-IPO)は、進歩性のレベルが経済に与える影響が強いとの認識のもと、進歩性について産業界に対して調査を実施しました。
2007年2月5日に公表された進歩性に関する報告書(簡易版)によると、現在の英国特許庁の進歩性の判断基準は妥当という結論でした。
<米国>
先日、KSR事件・米国最高裁判決が出されましたね。以前のブログでご紹介しました。
この判決を受けて、5月3日、米国特許商標庁(USPTO)では副長官名でメモランダムが出されました。USPTOは判決を研究中であり、近日中にKSR判決を踏まえた特許審査のガイダンスを発行予定だそうです。
このメモランダムは、ガイダンスが発行されるまでの審査上の注意点を審査部に知らせたものです。
<三極特許庁のプロジェクト>
仮想事例や実例を用いて三極特許庁(日本国特許庁-米国特許商標庁-欧州特許庁)の審査実務を比較研究するプロジェクトが開始されたそうです。
2007年4月から「記載要件」に関する比較研究を、2007年後半からは「進歩性」について比較研究を開始予定とのこと。
成果が期待されますね。(*^_^*)
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コメント
生越先生
進歩性に関する資料の御紹介有難うございました。
各国の動きが分かって大変参考になりました。
苦節134年間の懸案事項だった世界特許が出来たら良いですね。
審査が大変と世界中の特許庁が悲鳴を上げているのはあまりにも芸がないですよ。
投稿: 元院生 | 2007年6月12日 (火) 02時38分