農林水産物の知財問題
<中国で日本コメ解禁>
昨日(26日)の讀賣新聞夕刊の「日本のコメ」に関する記事が勉強になりました。2003年以来、4年ぶりに日本から中国への輸出が解禁されたそうです。
今後、「食べたことがないうまさ」として日本のコメを中国の富裕層を中心に売り込むとのこと。農林水産物の輸出額を1兆円規模を目指す「攻めの農政」の一環ですね。(*^_^*)
<遅れてしまった商標登録>
知財問題としては、中国では既に「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」の中国表記となる「越光」「一目惚」が商標登録されていること。このため、中国のスーパーで発売されたコメ袋には漢字ではブランド名が表記できない事態となっており、「新潟県産」「宮城県産」として販売したそうです。
地域ブランドの担当者は注意すべき事例です。商標を先に登録されると防御するには大変な手間がかかるからです。
アニメ「クレヨンしんちゃん」の中国語表記が中国で商標登録され、ホンモノのグッズが中国では販売できなくなった事態が報告されています。ですから、農林水産物だけの問題ではありません。
<「青森」商標>
このような事例として先行しているのに「青森」商標があります。
2002年に中国企業が中国商標局に「青森」という地名を商標登録申請したため、2003年7月に青森県や青森市など関係団体が商標登録を阻止するために異議申立を行いました。
この商標が登録されれば、中国市場に「青森」や「青森産」と表示した産品を輸出した場合に商標権侵害の訴訟が起こされる可能性が出るからです。
2007年6月23日の東奥日報によると、青森県議会は6月22日の一般質問に対する県側の回答として、「早ければ、今夏頃にも裁定結果が出る可能性がある」との見通しを示したそうです。良い結果が出ることを願っています。<(_ _)>
<山形の紅秀峰(べにしゅうほう)>
こちらは種苗法の問題です。先行事例として、迅速で素晴らしい解決だったと思います。<(_ _)>
(画像:山形県農林水産部生産技術課提供)
2007年7月19日の山形県のプレスリリースによると、2005年、山形県が種苗法に基づく品種登録を受けているさくらんぼ「紅秀峰」の種苗が、違法にオーストラリア連邦に持ち出されたことが判明しました。(紅秀峰はさくらんぼうの高級品種です。先日のブログでも「ブランド農作物」として御報告しました)
そこで、山形県は、農林水産省とも相談しつつ法的な対抗措置を講じました。その結果、「紅秀峰」の品種登録期間が終了してからさらに3年間(09年11月20日~12年11月19日まで)にわたって、「紅秀峰」の種苗や収穫物を日本に輸出しないことなどを条件に和解しました。和解と同時に、2005年11月に行った刑事告訴を取り下げました。
<農林水産の知財戦略>
この事件は、水際措置として登録品種種苗の不法な流出防止対策(財務省)として、関税定率法や関税法の改正にも寄与しました。
海外企業との種苗事件を迅速的確に解決された山形県と日本政府の手腕は高く評価すべきものと思います。
このように農林水産物の知財問題は始まったばかりです。これからが農林水産の知財戦略の本番です。(*^_^*)
これからの農林水産関係者の活躍が期待されます。<(_ _)>
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コメント
山形のサクランボウ、綺麗で美味しいですね。
投稿: 岸本正美 | 2013年3月 8日 (金) 12時24分