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明治時代の高橋是清の判断

お名前は分かりませんが、昨日は貴重なコメントありがとうございました。(*^_^*)

ご質問を戴いた件は、「日本の論点2006」に「論点55 知財高裁は機能するか 特許無効審判の欠陥――中小企業に泣き寝入りを強いて何が知財立国か」として書かせていただきました。宜しければ御参照下さい。<(_ _)>

以下、補足しながら私の意見を書かせていただきます。<(_ _)>

<明治時代の高橋是清の判断>

明治21年の特許条例で、裁判所ではなく、特許庁に特許の有効性を審理させる審判(無効審判)制度が創設されました。

特許庁に設置した理由は、特許制度の創設である高橋是清(初代特許庁長官)が下記のことを案じたからです。

「苦心した発明者が不利益の位置に立つようになっては、発明の奨励保護の主意に背くのではないか」

「社会に技術家が殖えるとか、或は裁判官が・・・慣れて来た暁には、勿論特許局の審判は経ずとも宜しかろうと思ふけれども、それまでは特許局で審判する方が宣いと云ふのが私の議論でありました」

<明治から平成へ>

高橋是清の時代から日本は進化したのでしょうか。

2004年から開講した法科大学院では多くの志の高い者が勉学に励んでいますが、法曹における理系出身者の割合はまだまだ低いようです。

法学部が存在しない米国では多様な学部の卒業生がロースクールに行って法曹に入りますが、日本は多様なバックグラウンドをもつ法曹の育成が遅れているのではないでしょうか。

<知的財産高等裁判所>

近年、NHKで報道されるほど、多くの方が知的財産高等裁判所の問題を指摘されています。日本を良くするために、皆様が積極的に意見を言うときと考えます。

知財の裁判官は地裁も高裁も真面目に熱心に裁判をされていると私は思っていますが、なぜ社会の認識と異なる判断と言われるのでしょうか。

裁判官の責任なのか、構造上の問題なのかを考える必要があると思います。

<日本国特許庁>

日本の審査官も裁判官と同様に真面目に熱心に審査していると私は思います(個人差の問題はおいておきます)が、なぜ他国よりも厳しすぎると言われるのでしょうか。

先行技術(引用例)を外国に比して探すことができる点は、特許庁の検索ツールが充実していることと審査官の教育レベルが高くスキルと熱意があるからと思います。

世界公知ですから、特許登録となってからどんでん返しされるよりも、特許となる前に先行技術を調査して貰った方が経営のリスクが軽減するとも考えられます。

深刻な問題は、証拠は同じでも判断基準が外国と異なる点と思われます。審査官の個人差も含めて、国家間の差を補正するシステムを構築が課題です。これは、特許制度だけの課題ではなく、人間が判断する全ての事象に共通の課題と考えます。

究極的には「世界特許制度」を構築して、一つの案件については世界中で一人の者に判断させて多面的にチェックしなければ「でこぼこ問題」は解消しないと思いますが、当面はスーパーハイウェイ(日本と他国の審査協力)の進捗に期待したいと思います。

<私の意見>

特許の無効の判断に技術者が関与するシステムを取り入れるべきと考えます。技術関係(特許や実用新案など)の知的財産の訴訟については、合議体のメンバーに技術者(審判官出身者など)を入れるか、陪審員制度のように技術専門家集団に事実審をさせる仕組みを取り入れるべきと考えます。

これと同時に、特許庁の無効審判を廃止して、異議申立制度を復活させるべきと考えます。情報提供制度や公知技術のデータベースの整備の拡大も必要です。これらはパテントトロール対策にもなると思います。

無効審判の廃止は、悪意のある繰り返し無効審判を防止することにも繋がります。「生のりの異物分離除去装置」事件のように無効審判の繰り返し請求で最後に侵害訴訟まで負ける事件もあります。侵害訴訟で負けた大企業が、無効審判の繰り返し請求により中小企業の体力を消耗させている事例が存在しますが、現状では排除できない仕組みとなっています。

今、イノベーションを育てる仕組みを日本の社会に構築することが喫緊の課題です。素晴らしい特許を生み出した技術者が酷い目に合わないように考える。これには技術者を法曹の場でも活躍させる仕組みの構築が必須と考えます。

高橋是清が心配した状況がまだ改善されていないのは、私たち自身が猛省すべきことと考えています。<(_ _)>

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