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アンジェリーナ・ジョリーの乳がん検出方法の特許権者は「アメリカ合衆国」?!

<アンジェリーナ・ジョリーの乳癌対策>

先週、アンジェリーナ・ジョリーが乳癌を予防するために手術を受けたというニュースが大きな話題になりました。

今週になって日本の病院も予防的な手術ができるようにするとの報道もありました。

乳癌対策が広まるのは重要ですね。o(^-^)o

<乳がんの遺伝子の特許出願人は誰?>

そこで「ヒト乳癌および卵巣癌に対する病気素因遺伝子(BRCA1)」である「乳癌× 卵巣癌×BRCA1」というタームで特許請求の範囲を特許電子図書館(IPDL)にて検索しました。

すると、公開公報が64件、特許公報が6件ヒットしました。

多くの企業が出願されているのですね。

<アメリカ政府も特許権者!?>

この検索で日本で最初に特許されたのは特許第3399539号「乳癌および卵巣癌の素因の診断方法」でした。

特許権者は何とミリアド・ジェネティックス・インコーポレイテッド」と「ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデーション」と「アメリカ合衆国」です。(@_@;)

「ミリアド・ジェネティックス・インコーポレイテッド」は、現在、米国の最高裁判所の判決を待っていることで有名な企業です。

それに、「アメリカ合衆国」も入っているのです。

この3者でライセンス料は山分けになるとしたら、アンジェリーナ・ジョリーの手術を受けたという告白は作為ではないでしょうが、アメリカ政府の収入を増やすことに貢献するのかもしれませんね。

<卒業生からのご質問>

日本では「診断方法」の特許は認められないのに、この発明の名称「乳癌および卵巣癌の素因の診断方法」は変だとの指摘が卒業生からありました。

事実関係を調べました。

日本に出願時(国際特許出願なので国内段階の移行時)は「乳癌または卵巣癌についての病気素因を診断する方法」という名称でした(特表2002-502227号公報)。

審査を経て、特許査定された時は「乳癌および卵巣癌の素因の診断方法」という名称になりましたが、特許請求の範囲の請求項1を見ると「ヒトから分離された組織試料中の乳癌および卵巣癌の病気素因を検出する方法」となっています。

ですから、本件は実質は「検出方法」に特許されたと判断すべきです(御存じのとおり、発明の名称に対しては拒絶の理由がありません)。

日本では審査基準により診断方法はほとんど認められないのが現状です。

米国の最高裁判例を踏まえて今後の議論が楽しみですが、日本とは論点が異なるかもしれませんね。(*^_^*)

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